「最近の若いのはすぐ辞める」は本当か。35年見てきた現場の実際
結論から言うと、うちの現場では逆です。今の若い子のほうが、辞めません。この10年で入ってきた11人のうち、辞めたのは1人だけです。「最近の若いのはすぐ辞める」は、少なくとも私の見ている範囲では当てはまりません。
私は1989年に自動車部品メーカーへ入社し、試作課に35年います。若手が辞めるのを見送る側として、実際に何が起きているかを書きます。工場勤務が自分に合うか不安な人の、判断材料になるはずです。
今の若い子は、思っているより辞めない
数字で書きます。ここ10年で私の周りに入ってきた若手は11人。そのうち辞めたのは1人です。10人は今も続けています。世間で言われる「イマドキの若者はすぐ辞める」とは、正反対の光景です。
理由は私にも断言できませんが、今の子はよく考えて会社を選んでいる印象があります。昔より情報が多くて、入る前にある程度「どんな仕事か」を分かって入ってくる。だからギャップで辞めることが少ないのかもしれません。
それでも35年で、12人以上が辞めていった
とはいえ、辞める人がいなかったわけではありません。35年をパッと振り返るだけでも、12人以上が辞めていったのを覚えています。
ただ、そのペースは昔のほうが速かった。私が入ったころは毎日4時間残業に土曜出勤が当たり前で、その忙しさに耐えられず辞める人が何人もいました。その話は工場を辞めたいのは甘えかにも書きました。今は労働時間もだいぶ変わって、その理由で辞める人は減っています。
辞めた理由は、たぶん「工場が合わなかった」
正直に書きます。辞めた人全員に理由を聞いたわけではないので、本当のところは分かりません。それでも、見ていて共通して感じるのは、工場で働くこと自体が合わなかったのだろう、ということです。
仕事の中身がきつすぎたとか、人間関係がひどかったとか、そういう分かりやすい原因を思い出せる辞め方は、実はあまりありません。もっと根っこの、「自分は工場という場所に向いていない」という感覚。それが辞める人の背中を押していたように思います。
見送る側の本音:引き止めない
若手が辞めると言ってきたとき、私たちベテランがどう反応するか。正直に書くと、必死に引き止めたりはしません。「辞めるんか。次は何やるんだろうな」。それくらいの感覚で見送ります。
冷たいわけではありません。今は転職が普通の時代だと、私たちも分かっているからです。合わない場所で無理に踏ん張るより、動いたほうがいいこともある。「最近の若いのは根性がない」なんて、少なくとも私は思いません。
続く人の共通点は、根性ではない
35年見てきて、辞めずに続く人には共通点があります。ただしそれは、根性でも我慢強さでもありません。
ひとつは、工場の雰囲気になじめること。あの独特の空気、油のにおい、機械の音、体を動かす毎日。これが嫌でない人。もうひとつは、ものづくりが好きなこと。私が35年続いた一番の理由も、結局これです。この2つのどちらかがある人は、長く続いています。
逆に言えば、続くかどうかは入る前にある程度わかる、ということでもあります。根性で乗り切るものではなく、もともと合うか合わないか。ここが大事なところです。
だから、入る前に「合うか」を見極めてほしい
まとめます。工場勤務で続くかどうかは、根性より「合うか」で決まります。だから、入る前にできるだけ見極めてほしいんです。工場見学があるなら雰囲気を肌で感じてくる。仕事の中身を調べておく。このブログの試作と量産の違いやきつい?の記事も、その材料に使ってもらえればと思って書いています。
そして、もしすでに入っていて「工場が合わないかもしれない」と感じている若い人がいたら。私が現場でかける言葉はこうです。若いうちにいろんな仕事をして、自分に合うものを見つけるのもいいと思うよ。若さは、それができる強みです。合わない場所で我慢するより、外を見てみるのも一つの選択肢です。