工場の休みは取れるか。年間休日と有給休暇の実際を35年目の現場から書く
工場の休みで一番大事なのは、日数ではありません。取りやすさです。そしてそれは、同じ会社の中でも職場によってまるで違います。求人票の年間休日だけを見て決めると、入ってから「話が違う」となりかねません。
私は自動車部品メーカーの試作課に35年います。私の会社の場合はこうだ、という話として読んでください。
土日は必ず休み。祝日は出勤の日もある
うちの工場には独自のカレンダーがあります。世間の暦とは、少しずれています。
まず、土日は必ず休みです。ここは動きません。一方で、世間が祝日で休んでいる日は、平日にあたるなら基本的に出勤します。海の日も勤労感謝の日も、うちにとっては普通の作業日です。
休日出勤も、今はありません。私が若いころは土曜出勤が当たり前でしたが、その働き方はとっくに終わりました。残業の実際と同じで、この30年で一番変わったところです。
その代わり、大型連休が長い
祝日に出る分は、大型連休で返ってきます。ゴールデンウィーク、お盆、年末年始。この3回が、まとまった休みになります。
長さは年によって変わりますが、短い年で1週間ほど、長ければ10日を超えます。今年度も3回とも1週間以上ありました。年に3回、10日近い休みがあるという感覚です。
これは工場勤務の、けっこう大きな利点だと思います。旅行にも行けるし、家のこともまとめて片付く。祝日が1日ずつ来るより、私はこちらのほうが好きです。
有給休暇は1、2日だけ残して使う
有給休暇は年に20日近くもらえます。長く勤めているからではありません。うちの場合、たしか2年目くらいから同じ日数になったはずです。若いから少ない、ということはありません。
私はそのうち1、2日だけ残して、あとは使い切ります。
全部使わないのは、最後に何か突発的なことが起きるかもしれないからです。急な体調不良や家の用事に備えて、少しだけ手元に置いておく。逆に、きれいに全部使い切る人もいます。どちらでも文句を言われることはありません。
理由は聞かれない。昔は聞かれた
有給休暇を出すとき、理由は聞かれません。届けには理由を書く欄がありますが、みんな「私用」と書いて終わりです。それで通ります。
昔は違いました。「なんで休むんや」と聞かれたものです。今それをやったらハラスメントになるので、誰もプライベートに踏み込んできません。ここは確実に良くなった部分です。
断られることも、今はありません。昔なら「何とかならんか」と粘られることがありました。私が入社したころと今とで、休みに対する会社の姿勢は別物になっています。
当日の連絡はしづらい。でも、すんなり通る
正直に書くと、当日の朝に「今日休みます」と連絡するのは、今でも気が重いです。これは職場が悪いのではなく、単純に言いづらい。
ただ、実際に電話をすればすんなり受け入れてもらえます。嫌な顔をされたり、あとで蒸し返されたりすることはありません。気が重いのはこちら側の問題で、職場の反応は淡々としたものです。
「明日休みます」も、言いづらさで言えば同じです。うちには有給休暇を事前に入力する表があって、みんなそこに予定を入れておきます。表に入れずに直前で言うのは、できなくはないけれど、やはり気は使います。
休みやすさは、職場によってまるで違う
ここが一番伝えたいところです。同じ会社でも、休みの取りやすさは職場によって全然違います。
私のいる試作は、かなり休みやすいほうです。自分の段取りで仕事を進めるので、休む日を自分で決められます。事務や技術などの間接部門も、比較的休みやすいと思います。
一方、量産ラインは事情が違います。知り合いのラインの人はこう言っていました。有給休暇は20日休めるけれど、ラインの都合で休む日を勝手に決められることがある、と。人が抜けるとラインが止まるので、そうなるのだと思います。ただ、その人は「本当に休みたい日は何とかしてくれる」とも言っていました。
試作と量産の働き方の違いは試作と量産の仕事はどう違う?に書きましたが、休みの取りやすさにもそのまま出ます。
求人票の年間休日だけで決めないでほしい
これから工場で働く人に言いたいのは、一つだけです。年間休日の数字だけを見て決めないでください。
年間休日が同じでも、自分で休む日を決められる職場と、決められない職場があります。突発で休めるかどうかも変わります。小さい子どもがいる人や、親の介護がある人にとっては、この差が日数より重いはずです。
だから面接や工場見学のときに、聞いてみてください。有給休暇はどれくらい消化されているか。急に休むときはどうしているか。配属予定の職場は、ラインか、それ以外か。ここまで聞いて答えてくれる会社なら、まず大丈夫だと思います。
ラインでも、事前に連絡すれば対応してもらえます。休めないわけではありません。ただ「思い立った日に休む」ができるかどうかは、入る前に確かめておいたほうがいい。工場勤務の待遇の全体像は自動車部品メーカーはきつい?正社員は割に合うのかに書きました。