中途で工場に入ったら、どう扱われるか。35年見てきた現場から
転職で工場に入ると、現場で肩身の狭い思いをするのではないか。そう心配する人がいると思います。結論から書きます。差別はありません。扱いも教え方も新卒と同じで、給料にも昇進にも差はつきません。
私は1989年に自動車部品メーカーへ入社し、試作課に35年います。中途で入ってきた人を受け入れる側として見てきたことを書きます。
先に断ります。私が見てきたのは3人です
最初に正直なところを書いておきます。私の周りで中途入社の人は3人です。大人数を見てきたわけではありません。
だからこの記事は「製造業の中途入社はこうだ」という一般論ではなく、ひとつの職場で35年見てきた範囲の話です。それを踏まえて読んでください。
もうひとつ。中途で入った人が何に苦労したかは、私には分かりません。本人に聞いたことがないからです。外から見ていて困っている様子はありませんでしたが、内心どうだったかまでは書けません。
派遣からの登用と、加工の経験者
3人がどこから来たかを書きます。
- 1人:派遣で来ていた人が、そのまま正社員として採用された
- 2人:加工の経験者で、加工の班に入った
派遣からの登用は、実際に起きています。その仕組みについては派遣から正社員になれるのかに書きました。すでに現場を知っている人が正社員になるので、受け入れる側からすると一番スムーズな形です。
残る2人は、前職で同じ加工の仕事をしていた人です。経験がある人は、経験のある職場に入る。当たり前のようですが、職種を選ぶときの参考になると思います。経験があれば、その経験が使える場所に入りやすいということです。
扱いは新卒と同じ。1から教えます
受け入れ方に、新卒との違いはありません。まったく同じです。
教え方も同じで、1から教えます。前職の経験があっても、うちのやり方は一から説明する。会社が違えば手順も設備も違うので、経験者だからと飛ばすことはしません。
これは中途で入る人にとって、悪い話ではないと思います。「経験者なんだから分かるだろう」と放り出されないということですから。教育の中身は工場の新人教育はどうやるかに書いたとおりで、これは中途の人にもそのまま当てはまります。
「前の会社ではこうだった」は、最初は言わないほうがいい
ここは正直に書きます。私の周りに前職のやり方を持ち込んだ人はいませんでした。でも、もし持ち込んだとしたら、あまり歓迎はされないと思います。
だから、最初は聞いておくのが無難です。「前の会社ではこうやっていました」を先に出すより、まずはこちらのやり方を覚える。
言えなくなるわけではありません。いずれ言えるようになります。手順を覚えて、仕事を任されるようになれば、「こうしたほうが早いのでは」という話は自然に通るようになります。QC活動のように、改善の意見を出す場もあります。
順番の問題です。実力を見せる前に前職の話をすると、ただ比較しているように聞こえてしまう。それだけのことだと思います。
給料も昇進も差はない。中途から職制になる人もいる
ここが一番大事なところです。新卒で入った人と、中途で入った人とで、給料にも昇進にも差はありません。
実際、中途で入って職制(現場の管理職)になった人はたくさんいます。「中途だから頭打ち」ということはない。実力があれば、どこまででも上がっていけます。
新卒で入ったかどうかより、仕事ができるかどうかで見られます。高卒と大卒では配属も給料も差があると書きましたが、中途か新卒かについては、そういう線引きがありません。ここは意外に思う人もいるかもしれません。
続くかどうかを分けるのは、職場に馴染めるか
では、中途で入って続く人と辞める人の違いは何か。私の見た感じでは、職場の雰囲気に馴染めるかどうかが大きいと思います。
仕事は覚えられます。1から教えますし、時間もかけます。覚えられずに辞めた人は思い当たりません。問題はそこではないんです。
工場には独特の空気があります。機械の音、油のにおい、体を動かす毎日、そこにいる人たちの距離感。それが自分に合うかどうか。人間関係や辞める人の共通点にも書きましたが、続くかどうかは技術ではなく、この部分で決まります。
これから中途で工場に入る人へ。中途だからと差別されることはありません。新卒と同じように教わり、同じように評価され、同じように昇進していきます。心配するとしたら、そこではなく「自分がこの場所に馴染めるか」のほうです。
だから、工場見学に行けるなら行ってください。設備の新しさではなく、そこで働く人たちの様子を見てくる。それが一番の判断材料になります。